いつもご覧いただきありがとうございます。
農業パーソナルトレーナの山下です。
今回は「農家のお客様ってだれ?」ついて。
これから農家が生き残る方法は一つしかないと思っています。
その方法とは、お客様と「密接につながる」こと。
そこで最近のセミナーでは
「あなたのお客様はだれですか?」って話を各地でさせていただいております。
基本的にフツーの農家はお客さんを意識していません。
今日、種を撒いている農家さんに
「あのー、お尋ねしますが、誰のために種をまいているんですか?」
って聞いてみてください。
「あ?、そんな奴おらん!」って答えが返って来るはずです。
中には
「消費者のためだよ」ってお答えになる方もいるかもしれません。
しかし、消費者のためって、誰のことです?って尋ねても答えられない。
結局、「だれのため」ってのが、ないままに自己都合で種を撒いているんです。
一般社会において、お客様を意識していない業態はかなり厳しい状況にあります。
今の社会では
商売されている方、小売り、サービス業などでお客様をないがしろしているお店は
すぐにつぶれてしまいます。
また町工場や工務店、小さな建設会社でも元請け先様というお客様の要望に応えることができなければやがて仕事は回ってこなくなります。
最近では銀行でもお客様サービスに一生懸命ですし、市役所などの自治体も住民サービスを徹底しています。
更に、最近では病院も患者さんを「お客様として手厚いサービスをしましょう」って方針になっています。
つまり、
今や、日本は、すべてお客様サービス国家なんです。
ところが、農業業界はどうでしょう?
全国の農家200万人がどれだけお客様を意識しているでしょう。
そのうち半分の農家は自給的農家ですので自社消費中心ですからよいとしても
半分の農家は販売農家です。
つまり、
今の現状は、お客様を全く意識せず農業をやっている農家が多いのが実情のようです。
これまで、世の中、社会の人々は、普段から口にしている農産物は、
「農家の方が、私たちのために一生懸命に作ってくれてるって、思っていました」
ところが最近、これまで一般消費者だったフツーの人が農業を始めたり、企業が農業参入したりし始めて、気が付いたのです。
「あれ?農家の人ッて、お客様のために作ってくれてるんじゃなかったんだ?」ってことに。
例えば、青果業者さんが、ある農家さんにこのようにお願いします。
「12月に白菜が3t欲しいって言われているんで、作ってくれませんか?」
でも、
「この白菜は市場に出荷するからダメだ!」って断られます。
もしくは、「私はキャベツを生産しているから、白菜は作らん!」って
かたくなに、これまでの自分のスタイルを変えようとしないのです。
一般的な社会、企業では顧客満足度を上げるために
お客様の声を吸い上げて、お客様に寄り添ったサービスをするために
必死になっています。
なぜなら、お客様にそっぽ向かれたら生き残れないことに気づいているからです。
同様に農業もこれからはお客様にそっぽ向かれたら生き残れなくなります。
こんな話をしていると、
「農家はお客様のことなんて考えなくてもいいモノ作れば売れるから大丈夫だ」っておっしゃる方もたくさんいらっしゃます。
しかし、果たしてそうでしょうか?
ここからは私の見解ですが、
これから農産物は売れなくなるって予測しています。
理由は農産物が余っているから。
日本は自給率39%って話が先走り、あたかも農産物が足りていないって話がクローズアップされますが、食べ物は余っていて、食品の1/3は捨てられています。
最近では食品ロス法ってのが成立して食品ロスを半分に減らしましょうってのが始まったくらいです。
それでも台風や水害などでどこかの産地が被害を受ければ品薄になって市場価格は高騰し
生き残った産地は潤ってきました。
ところが最近は、その傾向もなくなりました。背景には国内で品薄になりそうな時には
海外から輸入されるようになったからです。
つまり、農産物が売れなくなるっていうのは農産物を仕入れる側が特定のところからしか仕入れなくなるという意味です。
ですから、これから農家は仕入れる側から特定のところとして指定されなければ生き残れなくなるって言うことなんです。
なんか言い回しが難しくなっちゃいましたが、
要は「仕入れ先」と「納入先」が蜜につながる時代になったってことです。
だから生産供給する農家も
むやみやたらに自己都合で生産していても、仕入れ先と繋がっていなければその農産物は行き場失うようになるってことなんです。
ではどうすれば良いのか。ってことなんですが、
農協に出荷している農家は農協がお客様です。
農協のお客様は市場、青果業者です。
市場青果業者は小売、中食外食加工業者がお客様です、小売り外食中食加工業者は
一般消費者がお客様です。
そう、農協出荷されている農家さんは結局農協がお客様窓口なんです。
だから、農協がしっかりと次のお客様と繋がりを密接にできるように
農協と密接につながるんです。
一方、
農協を介さずに卸売場に出荷されている方はお卸売市場がお客様です。
どうすればその卸売市場が次のお客様に喜ばれるかを卸売市場と一緒に考えるのです。
農協、市場を介さずにダイレクトに青果業者に卸している方はわかりやすいですよね。
その納品先がお客様ですので、しっかりとそのお客様の要望にこたえることができるようにしましょう。
中には大きな農業法人と連携して農業法人に出荷している農家さんもいらっしゃいます。
この場合は納品している農業法人がお客様になりますよね。ですからその農業法人と密接につながることが大事です。
このように、お客様とは農産物を納品(出荷)している先になります。
結局のところ、その納品(出荷)先からおカネをいただいていますので、その納品先がその先のお客様と密接につながってもらわないとおカネは自分のところに流れては来ません。
つまり、これからの農業は自分のところにしっかりとおカネが流れてくる農家しか、
生き残れないのです。
ちなみに、最近は農協や市場や青果業者や小売り業者を介さずにいきなり消費者の人と
繋がって農産物を販売するダイレクトマーケティングをやっている農家が増えてきました。
これら農家はスモール農業といって自分のファンを作ってそのファンの人達に農産物や、商品、サービスを買っていただく仕組みを作っています。
ある意味これから生き残る農家としては最強の農業経営パターンです。
今回は「農家のお客様はだれ?」というテーマで書かせていただきました。
私がサポートしている農家さんや、農業参入した企業など
最初に教えるのが「あなたのお客様は誰?ですか」です。
この「お客様」が明確になった農家、農業企業は農業経営が飛躍的に改善しています。
そのくらい、「お客様を意識する」ということは農業経営する上で重要なのことなのです。
もし、あなたの周りで
農業経営で困っている方がいらっしゃったら是非教えてあげてくださいね。
「あなたのお客さんは誰ですか?」って