企業の農業参入がうまくいかない3つ理由

いつもご覧いただきありがとうございます
農業パーソナルトレーナーの山下です。

今回は企業の農業参入についてです

2009年の農地法の一部改正により農業はだれでも初めて良い時代になりました。
いわゆる農業の規制緩政策です。

これにより農業界も他産業と同じように自由競争の時代に入りました。
そして今年の12月で改正後10年が経過します。

農協改革と合わせて実施されたこの農業改革は10年でどのように変わったのでしょうか?

私は2012年にこの機をとらえ農業参入コンサルタントとして農テラスを設立。
予定通り多くの企業が農業に参入し、まだ全国的に情報が少なかった農業参入企業からは
情報を求め弊社に多くの問い合わせや顧問契約をいただきました。

当時はデフレ景気の影響を受けた建設業や製造業からのオファーが多くその後食品業、
サービス業と農業参入企業の業種も変わっていきました。

今ではIT業界や金融業界が農業参入を検討し始めています。

では企業の農業参入はこの10年でうまくいったのか?



答えは「ノー」です。

参入した企業の大半が鳴かず飛ばず。

ではなぜ?うまくいかなかったのか?

理由は大きく分類して以下の3つです
1、      農業を甘く見ていた
2、      ビジョンが甘い
3、      生産が伸び悩む


まず1の「農業を甘く見ていた」から見ていきましょう
農業参入の一番大きな失敗は過剰な設備投資。その後農業事業の資金が回らずに撤退する
ケースです。農業生産はお金をかけるとほぼほぼ省力化、自動化が可能となっています。
そこで企業は最初からそのテクノロジーを駆使して農業を始めます
つまり農業技術をお金で買うのです。
しかし、農業は農業技術だけで成り立っていません。その技術を使いこなす技能が
必要なのです。これを企業に伝えるのはなかなか難しく、取締役員会でどれだけ力説しても
通じない
苦い経験を何度してきました。
この結果どういうことが起きるのかというと「人員采配」に悪影響が出ます。

つまり、農業事業を立ち上げる際にこの大事なプロジェクトリーダーに
社内であまり使えないような窓際の人材を抜擢したりするのです。
会社でお払い箱のような人材を農業事業を開始するときのプロジェクトリーダーに
抜擢する。

これは農業を「なめている」としか思えない行動です。

嘘みたいですけど大半のプロジェクトでこのようなことが起こっています。
農業はかなり頭脳を使う事業ですし、判断決断実行力が求められます。特に立ち上げの時は
なおさらです。

にもかかわらずこれまで一度も活躍できなかったような人材を首にするわけにはいかない
から農業事業でもさせとけ、みたいな扱いでプロジェクトを始める企業が当時はかなり
多かったのです。

これではうまくいくはずがありません。

そもそも企業の農業参入する「きっかけ」の本気度が足りませんよね。


次に「ビジョンが甘い」ですが、企業のビジョンの甘さには驚きます。
まず、おいしいものが売れるって勘違いしてる企業です。

おいしいトマトを作れば売れるって数多くの企業がトマトやイチゴで農業参入してきました。
いわゆるスペック向上型企業です。

確かに工業製品ではスペックが高い、品質が高いほうが高く売れたり市場シェアを多く
得ることができます。

しかし農業では品質以上に重要視されることがあるのです。

それは信用です。

取引先から信用を得る、信頼を得なければ市場シェアは獲得できません。
そのためには「おいしい」とか「安心、安全」よりも欠品を出さないとか
約束を守るとか、品質を安定させるとかのほうが重要なんです。

これは既存の農業者もいまだに勘違いしているのですが、
マーケットを知らずに農業を始めて失敗する典型的なパターンになります

そして、3つ目の「生産性が伸び悩む」
そもそも企業の農業参入担当者は農業のことをあまりにも知らなさすぎます。

そもそも農業を事業として(ビジネスとして)やるためには
「野菜(農産物)を作る発想」ではなくて「仕組みを作る」視点でなければ
成功しません。

これはビジネス業界ではフツーのことです。
すべてのビジネスは 仕組みでできています。

その仕組みとは2つです
1つは、つつがなく商品やサービスが供給できる仕組み
そして2つ目はつつがなくお金が入ってくる仕組みです

この2つの仕組みを農業でも作らなければいけないのに
なぜか、お百姓さんになろうとします。

お百姓さんは仕組みを作らずひたすらおいしいものを作ります。

昔はこれでよかった時代もあったのですが、今は通用しません。

ですから
つつがなくものができる仕組み、
つつがなくものが供給できる仕組み
そしてつつがなくお金が入ってくる仕組みを構築する必要があるのです

これが農業に参入して成功する秘訣なんです。

これらがわかっていないと

最初からつまづきます。

例えば農地です。
農地はつつがなくものができる仕組みの最初のツールです。

こんなに大事なビジネスツールなのに
目の前にある情報でだけで安易に農地を借り入れて
ポテンシャルの低い農地で一生懸命に農産物を作ろうと努力するのです。

ポテンシャルの低い農地は元の耕作者が放棄した可能性の高い農地です。

つまり元耕作者(農家)でさえ手に負えないような農地を
借入て農業生産を始めようとしているのです。

これでは生産物ができるわけがありません。

それでも企業は技術でカバーしようとお金をかけてその農地の土づくりを始めます。

しかし、土づくりは数か月でできるものではなく1年から数年が必要です。

それに気づかずに農業事業を開始して3年間生産性が上がらず、
ついに資金がショートして撤退する。

このような事態が全国でこれまで行われてきたのです。

以上が農業参入してきた企業の実態です。

しかし、当然成功している農業参入企業もたくさんあります。
これらは全く逆のことをやっています

人材は社内で1番のプロジェクトリーダーを抜擢しますし、
最初から過剰な設備投資は決してしません

もちろん自分たちの都合で生産はせずに
マーケットの意向を聞いてから受注生産を始めます
もちろん信用信頼取引を前提として

生産農地は一番重要ですから
プロに見てもらいポテンシャルの高い農地でスタートを始めます
最悪、耕作放棄地しか手に入らない場合でも
3か年計画で土づくりを実施し経営が圧迫しないように事業計画を作成します。

つまり最初からつつがなくものができる仕組み、つつがなくものが供給できる仕組み、
つつがなくモノがお金に変わる仕組みを

計画を立てて計画通りに実行するのです。


こうすることで私がお手伝いさせていただいた企業は
全くの素人がゼロからはじめた農業で
今年10月、1億2千万を売り上げるまでに成長し今期は営業利益10%を達成しました。

この企業は農業参入してから丸5年でここまでできました。

私もこれまで個人の農業で黒字経営を達成し、農業法人の代表取締役で黒字化を実現し、
コンサルした企業を1億黒字化させることができました。

すべての農業経営で成功実績を重ねたことで
これからもより多くの農業経営者様をサポートさせていただきます

皆さんのお近くに

農業経営で困っていらっしゃる農業者の方や
農業参入を検討されている方
新規農業者で行き詰まっている若手農家の方などいらっしゃいましたら
是非一度農テラスにご相談にお越しくださるようにお伝えいただければと思います。

必ずその方がうまくいくようにアドバイスさせていただきます。

無料ご相談はこちらからどうぞ
https://notera.co.jp/contact/


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