日経新聞から未来農業を読み解く!

こんにちは農業コンサルタントの山下弘幸(やましたひろゆき)です

 

今回は日経新聞の最近の話題から未来農業を読み解いていきたいと思います。

8月6日付の日経新聞に出ていた記事ですが、

7月の国内野菜卸値が最高値になったそうです。

これまで1993年の記録的冷夏だったころの記録を更新し、統計を取り始めた1977年以降でも最高値だったとのこと。

値段が上がったのだから農家にとっても農業界にとってもそれは良い話ですよね。

しかし、これにより少しずつ農業業界の構図が変わるのではないかと感じています。

さて、今回の野菜卸値の高騰の要因はなんだかわかりますか?

そうですよね。ご存知の通り、

要因は、記録的な日照不足と降雨が原因です

この記事で私が注目したのは1993年の冷夏よりも2020年の日照不足のほうが

農産物が足らなくなるんだなーってこと。

つまり植物は

温度が足らないでも生育不良になりますが、

日照不足でも生育不良になります。

温度が足らないのは被覆など加温資材でカバーするなど対処のしようがありますが、

日照不足は人口光を与えない限りどうしようもないってことです。

つまり、そのくらい光が足らないってことは農家にとっては大問題なんです。

余談ですが、農業先進国オランダでは

トマトやパプリカなど10aあたり生産量が日本の2倍から3倍です。

2年前に修行に行ったときに植物の生育に影響を与える光合成の3要素である

水、光、二酸化炭素をすべてコントロールしている技術に驚かされました。

その中でも光のコントロール技術は巧で温室のフィルムも散乱光を取り入れる

工夫が施されていたり、陰になりやすい葉っぱにもLEDの光を照射したりすることで

強制的に光合成を促進させていたのです。

栽培技術のプライオリティも明確で「温度よりも光優先」、つまり多少温度が低くても

保温カーテンを開放して光を取り入れることを優先していました。

とても合理的で理にかなった栽培法で日本より2倍から3倍採れるのも納得です。

またまた余談ですが、8月11日に日経新聞に不動産大手の三菱地所が

大規模農業を始めるとの記事が載っていました。

私が注目したのは農業を始める場所。

どこで農業を始めるか?

それは晴れの国「岡山」。日照時間が長いといわれている県の一つです

話がそれましたが、

農業をやるうえで我々はこれまであまり光、日射量、日照時間に関して

意識してこなかったような気がしています。

しかし、光こそが農産物生産に大きな影響を与えていたのです。

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また、今回の野菜高騰は新型コロナ感染も影響しています。

2月29日付日経新聞の記事によると

新型コロナウイルスの感染拡大で、中国産野菜の輸入が急減していると早々に

発表されました。

これまでは国内で台風や自然災害など国内農産物量に影響を及ぼす事態になれば、

不足分を輸入して市場内流通量を安定させてきました。

私も、

コロナ拡大前までは、これからの時代は価格が高騰することはない!って

断言していました。

しかし、これが一変し、国内流通が滞れば途端に価格が跳ね上がる現象が

これからもありうるんだ!って言わざる得ない事態になっているってことなんです。

これまで私は

「国内農産物流通量は飽和状態である」って、

時あるごとに私のYouTubeやブログで

配信してきました。

理由は、国内農産物産出額合計が9兆円に対して輸入農産物が6兆円あるからです。

国内農産物産出額とは日本の農家が生み出した農産物流通額。つまり日本の農家さんに

流れてくるおカネのこと。

国内産出額が減れば単純に輸入が増える仕組みになっていたので

これからは闇雲に生産量を増やしたところでマーケットとつながっていなければ

市場価格が暴落するからです

現に、

豊作になれば市場価格が暴落する豊作貧乏の農家がたくさんいましたよね。

2018年から2019年はまさにこれでしたよね。

2020年の1月2月、つまり新型コロナウイルス流行前までは

農産物の価格が底値安定で農家はかなり厳しかったのです。

結果、私が断言していことは間違いでした。

申し訳ありませんでした。

しかし、たった、半年の間にこれだけ情勢が変わるって

私にも全く予想ができませんでした。

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ではこれから農業はどう変わっていくのか?

これもあくまで私の予測ですが、植物工場が勢いを増してくると思います。

6月30日の日経新聞には植物工場コロナで脚光という記事が載っていました

更に同30日の日経新聞には「世界人口、増加の一途 「屋内農業」有効に」と

いう記事があり、その記事を一部抜粋します

植物工場は海外では「屋内農業」とも呼ばれ、関連ビジネスが広がりを見せる。米プレンティはLED照明やデーター解析などの技術を組み合わせ野菜や果物をビル内の温室で栽培する。ソフトバンクグループのビジョン・ファンドなどから資金調達し、出資者に米アマゾン・ドット・コム創業者のジェフ・ベゾス氏も名を連ねている。

中国では、三菱ケミカルが同国最大規模となる野菜栽培システムを現地企業に納入することで合意した。

気候変動に直面する世界の人口は2050年に97億人に達し、食料危機リスクが浮上する。ロボットを駆使したスマート農業や植物由来の代替肉と並び、植物工場も有力な解決手段になりそうだ。矢野経済研究所(東京・中野)は、次世代植物工場の世界市場が25年に1618億円と20年(165億円)の約10倍に伸びるとみる。(出典:日経新聞6月30日付大林広樹)

日本は世界でも植物工場の数が多いといわれています。日本施設園芸協会(東京・中央)によれば令和2年の2月時点で386カ所あります。(出典:日経新聞6月30日付)

しかし、設備が過剰でまだまだ実験的な小規模施設が多く、大半は赤字で、販路開拓などの甘さから撤退も相次いでるのも事実のようです。

それでもマーケットは安定供給できる植物工場との連携をかなり強化し始めています

つまり、農産物流通の構図が変わりつつあるということ。

いやー、植物工場で作ったレタスやトマトはコストが高いから採算が合わずに

工場経営は成り立たないでしょう!

ってそう思っている方も少なくないと思います。

いやー植物工場のレタスやトマトは値段が高いからマーッケトは買ってくれないんじゃないの?

って、そう思っている方も少なくないと思います。

しかし、今後は植物工場の問題でなく、

我々フツーの農産物の値段が高くなるのです。

どういうことかというと

先にお話しした通り、輸入農産物量が減れば市場価格は高騰します。

しかし、これは中国からの輸入量が大きく影響しているのです。

コロナ禍で輸入検疫や物流便の削減など物理的な要因で輸入に影響を与えているのです

その中国からの輸入で忘れてはいけないのは

肥料農薬などの農業資材です。

7月9日付の日経新聞によると

日本の農業資材の原料は肥料で約93%、農薬で約38%を輸入しています。

そのうち肥料で5割、農薬の4割程度を中国に依存する。と掲載されています。

つまり日本は中国に農産物も農業資材も依存しているのです。

未来予測を妄想すれば

農家が使う肥料農薬などの農業資材が安い中国からはいってこなくなれば

農業資材費は高騰し、

中国からの輸入農産物の量が減れば

国内流通する農産物卸価格は必然的に高騰します。

農家にとっては高く売れてもコストも上がれば所得は増えません。

一方、植物工場で生産される農産物は現時点ではコストが割高ですが、

大規模化は効率化により

どんどん低コスト生産が可能になってきています。

更にその植物工場に大きな資本も投下されつつあります。

もしかすると

一般農家が作る農産物より植物工場で作る野菜のほうが安くなる???

なんて未来が訪れるかもしれない!?

まさかそんなことはないでしょうが、

今回のコロナのように社会が一変するような事態が

突然始まる。

このことは皆さん身をもって感じていらっしゃるのではないでしょうか

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【まとめ】

今回は私の壮大な妄想話にお付き合いいただきありがとうございました。

しかし時には妄想も現実になることがあります。

私が2年前にオランダにコンサルタントの修行に行った際に見た衝撃的な

コンサル手法。

それは狭い部屋の中で

TVモニター越しに沿革で農業指導している様子でした。

現地に行かずともデーターと現場の様子をリアルタイム動画でみながら指導できる。

その時私は「これだ!」って思いました。

帰国して早速その準備に取り掛かりました。

防音設備の部屋とカメラとpcと・・・

しかし、

おそらくこんなことができるのは5年先、いや10年先だと思っていました。

しかし、時代が一気に変わり

今では現地指導をオンラインでつないで、狭い部屋で全国の農家さんと

TVモニター越しで指導サポートを行っています。

今回も長くなりましたが、最後までお付き合いいただきありがとうございました。

 

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