いつもご覧いただきありがとうございます。
農業参入コンサルタントの山下弘幸(やましたひろゆき)です。
今回のテーマは「格差会社」ついて
え?格差会社って「格差社会」のことでしょう。文字間違えていませんか?
いや、格差会社であっています。
今回のお話は
従業員教育でお困りの経営者の方に是非読んでいただきたい内容になっています。
長い文章ですが、お役に立てる情報だと思います。
「格差会社」
格差社会については皆さん聞かれたことがあると思います。
今話題になっていますよね。
でも、
「会社内にも格差がある格差会社」ということはあまり知られていません。
知られていないというか気づいていいない方が多いようです。
特に、勉強熱心な社長さんに多い傾向があります。
会社内の格差とは
「社長」とそれ以外の方の格差(距離)のことです。
社長は経営者のトップ。最終決裁者です。
その社長とその他役員、社員、臨時社員などとの隔たりが
めちゃめちゃ広がっているということです。
一般的に社長さんは
自分でその会社を立ち上げています。
つまり創業者であることが多いようです。
農業の会社などはまさに
創業者であり、社長であり、オーナーである方がほとんどです。
そして頑張って会社を大きくして従業員を数名雇えるようになったところまで
たどり着きます。
最初は家族や身内で頑張ってやっていますが、やがて家族にばかりに頼れないので
血縁関係以外の社員、従業員に頼らざる得なくなっていきます。
しかし、このあたりから歯車が狂い始めます。
社員、従業員が思い通りに動いてくれない・・・
最近社員のやる気が見られない・・・
未来を描きたいけれど、一緒に未来語れる社員が育たない・・・
この現象は農業経営者のみならず、
中小企業の社長さんや、自治体の首長、諸団体の会長など
トップといわれている方すべてに共通している課題だといわれています。
ではなぜ?こんな現象が起きるのでしょうか?
私も農業法人の代表取締役をはじめあらゆる組織のトップの任を経験してきました。
そこで、感じたことは
トップとそれ以外では「価値観」が全く違うということです。
社長や何かしらのトップは、トップ同士が集まる会合に出たり、トップだからこそできる
商談があったり、トップだから会える人がいたりします。
そのトップの方は同じ価値感を持っている人や時間を過ごしています。
一方それ以外の人にはその会合も商談も参加していないのでそれらの「価値」は
全く想像もできないし、理解なんてできるはずがないのです。
そこで問題なのは、
社長が自分とそれ以外の人との「価値観のずれ」を理解できていいないということです。
農業の社長の多くは「最初から社長」の人が多く、
これまでに人に雇われたことがない方が大半です。
ですから、雇われている人の立場を理解するのが苦手な場合が多いのです。
実は私もそうでした。
親が社長の家業を継いだのですが、そもそも下積みのころから雇われている意識は全くなく、
自分が家業をやっている意識が強かったのです。
ですから、当時雇用をしていた社員にはトップダウンで「あーしろ、こーしろ」と
命令をしていました。
そして、よくないことですが、思い通りに動かない社員は首にしていました。
今考えるとかなりブラックなことをやっていたと反省しています。
でも、そうしないと我が家の経営が成り立たなかったのです。
当時は人の使い方や人材育成のやり方を知らなかったのです。
その後、ある農業ベンチャー企業に中途採用されて初めて
社員、従業員という立場を経験したのですが、そこで初めて雇われる人の気持ちを
学ぶことができました。
私が中途採用されて
社員として働いていた時の社員従業員の仲間はこんな感じだったのです。
「ったく、やってらんねーよな」
「社長はいいよな、俺たちに現場まかせて、涼しいところで仕事してさぁ」
社長は「一生懸命に社員に頑張ってくれ」って言うのですが、
どれだけ会議で社長が熱く未来を語っても、全く社員には響いていない。
それどころか、「相変わらず社長の話ねげーよなー」って
一緒に未来語れる社員どころか、どんどん距離を置かれていたのです。
そうか、社員って社長の話なんてはなっから聞く耳持っていないんだー
衝撃的でした。
私は社長の話は聞いて当たり前、言われたことをやるのが当たりまえ、
それどころか言われる前に「やる」のが社員の務めと思っていたからです。
ですから、私は会社の指示通りに一生懸命に働きました。それどころか
言われる間に行動し、それ以上の成果を出し続けました。
その後、その農業事業部が子会社化され
私がその農業法人の代表に抜擢されました。
そして
先ほどの「やる気」のない社員が すべて私の部下になったのです。
立場が変わると「人は変わります」
これまで同僚だった仲間に対して、
「何やってんだよ!ちゃんと仕事しろよ!」
「できないんだったらやめていいんだぞ!」
すべてトップダウンです。
親会社からプレッシャーと結果を出さなければいけない責任感から
私はこれまで仲間だった同僚に権力を振りかざしました。
結果、どうなったかというと
私は社内で孤立しました。
社内、農場内で私の話をだれも聞いてくれなくなったのです。
そしてついには
誰も私に目すら合わせてくれなくなったのです。
当然、仕事も作業もとどこおり、
収量は減り、売り上げも急降下していったのです。
私はこれまで一生懸命に会社のために働いてきて、そして代表にまで上り詰めて
これでやっと
もっと良い会社にできる!
そう思ってがむしゃらに頑張ってきました。
しかし、私とは違う、私ほど頑張ってこなかった社員に対しては
頑張るのが当然、頑張らないのはお前が悪いって
私は間違っていない。私が誰よりも頑張っているのだから、って思っていたのです。
自分の正しいと思っている価値観を
部下に押し付けて
できないやつは「能力のない奴」「やる気のない奴」と決めつけて
その自分の基準、自分の価値観だけで人を評価する。
当時の私はそんな奴だったのです。
「名プレーヤー、名将にあらず」という言葉がありますが、
頑張ってきた人、結果を出してきた人、才能のある人に限って指導者になると
とたんにダメになるようです。
なぜなら、自分はできていいたから。
現在いくつかの会社をお手伝いさせていただいております。
どの会社も人財育成、人財教育に苦慮されているようです。
その根底にあるのが社長とその他の社員の格差です。
私がお手伝いさせていただいている会社では
この格差を埋めることに注力しています。そして格差が埋まることで
事業成果がかなり出ています。
その後私は
社員との格差を取り除く努力を山ほどやりました。
自宅に招待して食事をふるまい酒を飲み、家に泊めて朝まで語り明かしました。
自分の話だけでなく社員の話にもしっかりと耳を傾けて。
時あるごとに社員みんなを連れて飲みに行き、バカ騒ぎをしました。
みんなで飲むときは決して仕事の話はしませんでした。
社員、部下の価値に寄り添い、その価値を理解することに全力を費やしました。
そうすると、どんどん社員たちは私に心を開いてくれるようになりました。
そして収量も売り上げもどんどん回復していきました。
理由は
社員が積極的に仕事をしてくれるようになったからです。
社員がこの会社を自分の会社と思い、社長の考えを理解しようとしてくれるように
なってからです。
彼ら彼女らが本気になって仕事に取り組んでくれさえすれば
会社は必ず成果が出ます。
ということは、彼ら彼女らが本気になって取り組んでくれなければ
会社の成果は期待できないということになります。
では、
社員従業員が本気になってくれるためにはどうすればよいのか?
それは、社長に「共感」してもらうことなんです。
上からではなく、同じ目線で
同じ人として話をする。話を聞く。
するとどこかで共鳴する瞬間が現れます。
その共鳴する瞬間ってどういう瞬間か?というと
しゃべっていて二人の話が盛り上がる瞬間です。
別に仕事の話でなくてもよいのです。どんな話でもよいので
価値と価値が重なり合うその瞬間を探すのです。
そこで共感したもの同士は
始めて同じ方向を向くことができます。
「ったく、やってらんねーよな」
「社長はいいよな、俺たちに現場まかせて、涼しいところで仕事してさぁ」
って言っていた社員は
社長のためにいっちょ頑張るか!って言ってくれるようになります。
会議で社長が熱く未来を語っても
社長の話なっげーなーって言っていた社員も
「耳を傾けてくれるようになります」
そのためには社員の話に耳を傾け、共感できるポイントを探すのです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
この話は社員教育だけに限った話ではありません。
お客様との取引においても全く同じなんです。
お客様とどれだけ「共感」できるか。どれだけお客様に「共感」していただくか。
「共感」これからの農業ビジネスで成功するカギだと思っています。
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